スズキスポーツ海外事業部勤務。JWRCのラリーコーディネーターを務めるバイリンガル。スズキスポーツ社内でも1・2を争うラリーオタク。愛車はシボレークルーズ。
 

このページでは、コーディネーターとしてラリーに参加するスタッフ、「Cookie(クッキー)」が見たこと聞いたことをレポート。現場の雰囲気を皆さんにお伝えしたいと思います。
まず、スズキJWRC WEBサイトでラリーの詳細をご覧になっていただくと、さらにこのページを楽しめます。

 


1月20〜23日、JWRC(ジュニア世界ラリー選手権)第1戦モンテカルロ・ラリーが開催されました。
モンテカルロは新年初顔合わせの場所。第一声は「Happy New Year!」から始まりました。直前テストに合流したP-G選手、ガイ選手は相変わらずで、やる気満々。今年はWRC全16戦へ参戦する、新たな挑戦の年です。ドライバー、スタッフ共に自信にあふれ、ポジティブな空気がチーム全体に流れていました。

 
       
         
  今シーズン開幕前の大事なテスト。極寒の山間部にて行われました。   雪もちらつく山間部、あまりにも寒く、メカニック達はみんなこんな格好に。まるで盗賊・・・。   レッキ前の大事な打ち合わせ。途中の休憩場所や、万が一の時の待機場所など、詳しく打ち合わせをします   本番同様に気合いの入ったテスト。  
       

 


そして、今年のモンテカルロは、とにかく暖かかったです! 通常、山間部には雪がたくさんあるのですが、今年はスタッドタイヤ(スパイクタイヤの事)を使用しませんでした! それだけ路面のドライ率が高かったのです。もちろん、コースが変更され、全体に南下したこともあります。しかし、それだけでは無いようです。例えば、有名なチュリニ峠の手前で、今年のSS5/10/13のスタートの街であるCol de Brausという場所がありますが、そこは標高1,000m。通常なら常に気温がマイナスですが、今年はプラスでした。「ドライモンテ」は、ますます加速しているようです。

 
       
         
  SSに向かう道その1。実際のステージもだいたいこんな感じですね。日本にもありそうな道ですね。  

SSに向かう道その2。だんだんヤバくなってきました。石のガードレールが怖さ倍増です。こんな所をあんなスピードで走るラリードライバーって・・・。

  SS5,10,13のスタート地点。
この道路標識に「チュリニまで29km」 あこがれのチュリニ峠です!
  ラリー3日間全く降らなかったのに、月曜日に大雪。一瞬にして一面銀世界になってしまいました。  
       
         
  モナコ公国を見下ろした風景。とても綺麗です。ここモナコは、国の面積が約2キロ四方しかありません。ちなみに、物価は東京並みとか・・・。  

モンテカルロの有名なカジノです。町の中心に位置しており、ここでセレモニアルスタートが行われます。その他に各メーカーの体制発表会も行われました。

  SS3、4と山奥まで歩いていくラリーファン。ものすごい数の人が集まってきました。   南仏地方古くからのお決まりのサンドイッチ。ツナや卵にたっぷりの野菜に、オリーブオイルとビネガーをかけ、フランスパンでサンド。最高においしかった!  
       
 
今年のJWRC参加台数は、13台と減少しました。しかし、そのぶん参加メーカーの本気度はかなりアップしてきました。シトロエン、フィアット、ルノーなど、どこのチームも精鋭揃い。シトロエンは、かなりのテスト量をこなしてC2を熟成させて来ました。また、フィアットはプントに改造を施し戦闘力アップ。昨年スズキで活躍したミルコ選手をファクトリーサポートチームに迎え入れ、体制を強化してきました。そして、ルノーは昨年2勝の実績があるクリオ。どれも手強い相手です。

 
       
         
  ミーク選手のシトロエンC2です。今年は、ドライバースーツもWRカードライバーと瓜二つで、かなり本気!  

昨年はスズキのドライバーだった、ミルコ選手。今年はフィアットで参戦です。

  フィアットのカーボン製のアライメント調整台。ワークス体制で気合いが入っています!   そして我らがイグニス・・・いや、この牛は、モナコで行われるアートフェスティバルのマスコット。サービスパークに迎え入れてあげました。  
       




Leg1がスタートすると早速ラリーリーダーの座についたのは、P-G選手でした。ガイ選手は、ブレーキトラブルでリズムを崩したのかスピードに乗り切れなかったようですが、それでも2人共上機嫌で初日を終えました。

Leg2でもP-G選手の速さは変わらず、このまま行くのでは?と誰もが思い始めた時、ラリーは動きました。WRCクラスのクラッシュでSS6,7がキャンセルされ予定より1時間以上遅れが生じた事で、SS9は真っ暗闇の中でスタートする事になったのです。本来なら、夕方まだ明るいうちに走行するはずのステージがナイトステージに! つまり、気温も路面温度も下がって、非常にシビアな予想が難しいコースになってしまったのです。そして、P-G選手、ガイ選手が相次いでクラッシュ。昼間溶けた雪が、気温の低下によって凍った「アイスパッチ」に乗ってしまったのです。

モンテカルロラリーは、タイヤ選択が非常に難しいラリーです。タイヤは全部で4種類。2種類の硬さのスリックタイヤと、レインタイヤ、そしてスタッドタイヤ。雪・氷が路面にどれくらい有るかで、タイヤを使い分けなくてはなりません。もちろんドライの比率が多ければスリックで行きますが、雪の上ではツルツルです。その判断が難しいのです。さらに舗装路面でも、乾いた所、濡れた所、古い舗装、新しい舗装で、これまたグリップレベルが変わってきます。それの見極めもひと苦労です。その辺りも熟知している地元選手が速いというのも納得がいきます。ちなみに、今回WRCで優勝したシトロエンのローブ選手は、地元がモンテカルロラリーの行われる場所です。彼は今回、他の選手が苦労した所、場合によっては多くのリタイヤが発生した小さな路面の変化さえ熟知していたと言われています。

リタイヤした両選手ですが、今年から適用されたリエントリー・ルールによって、マシンを修理すれば再びラリーに復帰することができます。しかも、不幸中の幸、リタイヤしたSSはLeg2最終SSでしたからペナルティも最小限の5分で済みます。この状況にメカニックが燃えました! 結果、夜を徹してマシンを修復。Leg3のスタートラインに再び2台のイグニスが並んだのです。

 
       
         
  通常のサービス風景。忙しいながらも余裕がありそうですが・・・。   Leg2の最終SSでクラッシュ後、サービスパークに戻ったP-G車。これを直すんですから、ラリーって大変だなぁと思います。   昨シーズンのアクロポリスを思わせる様な、メカニック達の努力でLeg3のスタートにつくことができました。メカニック達に拍手!!  

コスティ選手を出迎えたモンスター田嶋。勝てなくて一番悔しかったのは、実はこの人かも・・・。

 
       
 


Leg3は、トップに躍り出たコスティ選手と、それを追うミーク選手の一騎打ちになりました。初優勝が目の前に見えたコスティ選手でしたが、これまたモンテカルロ名物の罠、スペクテーター(観客)が投げ入れたコース上の雪に足を取られマシンを壁にヒット。タイムロスを喫し、ミーク選手に逆転を許してしまいました。しかも、そのタイム差は僅かに14.5秒。コスティも悔しいでしょうが、これはスタッフとしても非常に悔しい! またも、モンテカルロ優勝を獲り逃がしてしまいました。しかし、全体でみれば、スコルチオーニ選手の3位入賞や、P-G選手6位、ガイ選手7位でのポイントゲットなど非常に内容の濃いラリーでした。

次戦は、3月11〜13日に開催されるJWRC第2戦「ラリー・メキシコ」。そして、P-G選手、ガイ選手は、2月11〜13日のWRC第2戦「スウェディッシュ・ラリー」に参戦します。今年もスズキ勢に多くの声援をお願いします。

 


おまけ  

 

好評(?)のおみやげプレゼントですが、今回はモンテカルロからスウェーデンに直行(日本に帰れません・・・)のため、お休みとさせていただきます。
次回メキシコ戦レポートの時をご期待ください。
 
 
   
  おぉ〜!ジムニーです!フランスの景色にも溶け込んでいます。「雪国にジムニー」の法則は万国共通ですね!  
 

 

 

 



 
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