スズキ、名高いギリシャの悪路に挑む スズキ・ワールドラリーチームの新しいチャレンジの舞台となるのは、WRCの各イベントの中でも特に由緒あるイベントの一つに数えられる名イベント、アクロポリス・ラリーである。1951年のイベント発祥当時アスファルト・ラリーとして知られたイベントはすっかり様変わりし、いまや年間の各ラウンドの中でもラフなオール・グラベル・ラリーとして名を馳せているが、伝統的にアテネのアクロポリスで催されるスタートはイベントが初めて行われた当時を偲ばせる。 ラリーの拠点は昨年までと変わり、アテネの市街地からやや北にいったタトイ軍事空港に置かれることになった。とはいえステージは去年までとそう変わらず、悪名高い難路がラリーカーとクルーを待ち構える。岩だらけの山道はSX4 WRCの各部、特にサスペンションにとって大きな試練となるだろうし、散乱している岩の中には鋭く尖ったものも多いため、タイヤは常にパンクの危険にさらされる。また、初夏の熱気はエンジンや冷却系、そして車内のクルーに大きな負担を課すだろう。このように、マシンとクルーに対して攻撃的な要素の多いアクロポリス・ラリーだが、だからこそドライバーの技量とマシンの完成度がシンプルに試されることになる。 木曜の現地時刻19:30より、例年通りアクロポリスで開催されるセレモニアル・スタートをもって幕を開けるアクロポリス・ラリーは、デイ1に合計110kmに及ぶ7つのSS、デイ2に合計119kmの6つのSS、デイ3に合計110kmの7つのSSを走り、日曜の現地時刻15:00に終幕を迎える。ドライバーと車両の双方にとって常に犠牲と隣り合わせといってもいいようなこのタフな3日間の行程は、最後まで勝敗を巡るドラマを予感させる。 カーニュース: 前回のサルディニア同様、アクロポリスはジュニア世界ラリー選手権(JWRC)において、スズキがかつて経験を重ねてきた舞台である。しかし、WRCはJWRCとは完全に異なるレベルの挑戦であり、この地を初めて走るSX4 WRCにとって今回のラリーは全く新しいチャレンジといえる。ラリー期間中のギリシャは暑く乾燥することが予想されており、SX4 WRCはヨルダン以来の熱との戦いに臨むことになるだろう。 十分な強度と耐久性がアクロポリスを走りぬく上での鍵となるが、前回のサルディニア島でP‐G・アンダーソン選手の車両がノートラブルでトップ10以内の成績を収めたことは今回の完走に向けて大きな励みとなる。アクロポリスのステージには、これまでスズキが体験してきた2つのグラベルステージ、ヨルダンやサルディニアのステージと部分的に類似する箇所が見られるだろう。そうした場面ではスズキは経験を活かした走りが期待できる。 アクロポリス・ラリーにおいて、チームは再び両選手が完走することを目標に、信頼性を重視した戦略をとる。ギリシャのラフなコンディションに耐えるように、チームでは、SX4 WRCにフロアの強化を施し、高温の大気に備えて冷却系にも新たな工夫を加えている。また、サルディニア向けにセットアップされたサスペンションやディファレンシャルは、ここギリシャにも対応することが期待されている。 ドライバーニュース: ドライバーは両名とも以前アクロポリス・ラリーを走ったことがあり、その経験を活かして今回のイベントに挑む。 トニ・ガルデマイスター選手は2005年に自身7度目のアクロポリス・ラリーで総合2位に入賞しており、翌2006年には4位を記録している。彼の正確で臨機応変なドライビングはアクロポリスの予測しづらいコースに適しており、今年のイベントでも実力を最大限発揮できることを望んでいる。 一方、P-G・アンダーソン選手は過去、JWRCクラスにおいて2度アクロポリスを走っている。2004年に初めてイグニス・スーパー1600で走ったときには2度の横転を喫したが、2005年にはクラス優勝を決めた。失敗と成功の記憶を胸に、今回のラリーに臨む。 トニ・ガルデマイスター選手 コメント: 「アクロポリスは昔から好きなラリーだ。最近の多くのラリー同様、以前のマラソンのようなスタイルに変わってスプリント・レースのようになってしまったけれどね。車体を十分に強化し、信頼性を確保できていれば、SX4 WRCはアクロポリスに合っている車といえると思うよ。とにかく、ここで価値を狙いに行く上で一番重要なのは完走することだ。僕達は、サルディニアのときと同じ戦略をとることになると思うよ。アクセル全開で飛ばすのではなく、注意深く走って完走し、ポイントを得るんだ。サルディニアはいい勉強になった。ここでポイントを取りたいと心から思っているよ。」 P-G・アンダーソン選手 コメント: 「アクロポリスではこれまでに、良い経験と悪い経験、両方を体験した。前にギリシャを走ったときのステージはアテネからかなり西に行ったところのラミアの近辺に設定されていて、アテネの近くのステージはなかったなぁ。アクロポリスはすごく難しいイベントで、どのチームのどのドライバーにとっても大きなチャレンジといえると思うよ。サルディニアでの経験はどちらも僕にとって有意義だったと思っている。今回、岩に十分気をつけて、慎重に走り、JWRCで2度目にここを走ったときのように、SX4 WRCで良い結果を出せれば、と思っているよ。」 チームニュース: スズキ・ワールドラリーチームは、3日間を通して、これまで同様に信頼性を最優先してラリーを戦う。アクロポリスは他のWRCイベントと比べても特にラフなイベントであり、イタリア、ギリシャ、トルコと3連続する地中海のグラベルイベントの真ん中のラウンドである。ギリシャで大過なく完走することが次戦ラリー・オブ・ターキーに臨む上で重要な意味を持つ。 サルディニア島でアンダーソン選手の駆るSX4 WRCが見せた安定した走りは、今後のスズキ・ワールドラリーチームの快進撃を予感させている。ギリシャ、トルコと続くラフなグラベルラリーで車両とチームの一層の成長が期待される。 田嶋伸博 スズキ・ワールドラリーチーム チームプリンシパル コメント: 「2008年が始まったとき、この1年がとてもタフな、苦難の多いシーズンになるだろうと予想していました。実際、これまでの戦績を見れば、その予想が的中しているのが分かります。ですがそれらは前進を遂げる上で必要な過程でした。アクロポリス・ラリーは年間のカレンダーの中でも難関イベントとして知られていますが、それは私達にとっては大きな成長のチャンスとも言えます。ですから、私は今回のイベントを楽しみにしています。今回の目標も、2台が完走し、ポイントを取得することです。ドライバー両名が、この目標の達成のために、完走第一で賢く走ってくれることを期待しています。」