WRCを争う車はWRカーと呼ばれ、グループA(→HISTORY参照)のクラス8という車両区分に属します。WRカーはロードセクションで公道を走るため、競技車両とはいえナンバーがついた公道車検に通る車です。 大まかな特徴としては、排気量2000ccのターボ過給エンジンを搭載した4WD(4輪駆動)車で、市販されている車両がベースということが挙げられます。現行のWRCのレギュレーションでは、連続する12ヶ月間に2500台以上生産実績のある車をベースに、ワイドボディ化・4輪駆動化・サスペンション形状変更・同じメーカーが別な車両向けに作ったエンジンへの換装・ターボ装着・リアスポイラーの装着といった広範な改造が認められており、各チームの工夫のしどころとなっています。

車体
軽量化のためにボディシェル(車の骨格となる鋼板で作られる構造体)の内部から贅肉を省き、市販車でスポット溶接されるところをスポット数を増して強度を上げます。万一の際に乗員を保護するためのロールケージはボディシェルに溶接で組み込まれ、車体の剛性を上げる一役を担います。

エンジン
吸気に34mmリストリクターが装着され、ターボ過給器の装着が許可されています。FIAの設定している目標馬力は300馬力。エンジンはシリンダーブロックとシリンダーヘッドについては追加工こそ許されていますがオリジナルのものを使用しなければなりません。また、クランクシャフト・コンロッド・ピストン・シリンダーライニング・バルブ・カムシャフトといった主要コンポーネントの改造は許可されており、チューニングの腕の見せ所です。ターボブーストは一般の市販車両で1気圧強なのに対してWRカーでは大体3〜4気圧くらいにセッティングされています。アンチラグシステムがフルに活用され、トルクフルな駆動を実現しています。

駆動・サスペンション
4輪駆動、5速セミオートマというのがお決まりのパッケージとなっています。セミオートマというのは、電子制御でシフトチェンジを行い、クラッチ操作が不要なことを意味します。ギアが替わるのに要するのは0.04秒といわれ、F1なみの数字です。WRカーにはクラッチペダルもついていますが、使うのはスタートのときだけです。
駆動、サスペンションはWRCではもっともセッティングが難しい、エンジニア泣かせのシステムの一つです。ターマック・グラベル・アイス・スノーといった多様な路面、さらに同じグラベルでも砂、泥、岩といった異なるキャラクターにマッチするセッティングやパーツのチョイスをしなければなりません。また、今年からタイヤがピレリ製ワンメイクタイヤになったため、ピレリから提供されるグラベル用・ターマック用・スノー用のタイヤにあわせた開発が必須というのも難しいところです。
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